財務分析では経営者の意思決定を読み取れ

 再三にわたって延長された金融円滑化法、いよいよ本年度末(平成25年3月31日)には期限が切れることが確実視されています。

 

 これを受け、支援機関(特に金融機関)からの支援依頼として、圧倒的に「企業再生」分野の比重が高まっています。

 

 支援開始前に、かならずお預かりするのが、過去3期の決算書。その核となるのが、B/ S(貸借対照表)およびP/L(損益計算書)といった財務諸表です。

 

 中小企業診断士のみならず、企業再生のコンサルティングを行う際に真っ先に行うのが、これら財務諸表の分析(財務分析)です。

 

 最近では、PCソフトに数値を入力するだけで、各種経営指標がはじき出され、あっという間に「財務分析」ができるようになりました。

 

 しかし、これらのソフトからはじき出された指標を眺めるだけでは、財務分析は十分とは言えません。

 

 財務分析から読み取るべきは、過去に経営者がどのような意思決定を行ったか(または行わなかった)、ということです。

 

・売上が下がった翌年、何とか売り上げ減を押しとどめたものの売上総利益率が大幅に低下した。

 →売上減に歯止めをかけるため、価格競争に走った。

  商品の差別化が不十分で、競争力が弱いのではないか?

 

・前年に比べて役員借入金が増えた。

 →資金繰りに窮して、とりあえず自分の手取りを減らして支払いに充てたのではないか?

 身を削って当面の資金繰りをしのいでいる様子がうかがえます。

 

・逆に、役員貸付金が増えているる。

 →本来個人で支払うべきものを会社に肩代わりさせている。

  公私のお金の区別がつけられない経営者ではないか?

 

 といったことが読み取れます。

 

 財務分析を行うことで、経営者に実際に会う前から、どのような性格で、どれだけの経営能力や経営意欲を有しているか、おおよそ予測がついてしまうものです。

 

 ここ1~2年、金融庁から金融機関に対して、「コンサルティング能力」を発揮するよう求められてきています。

 

 金融機関は、企業の財務諸表という最も重要な基本データを手元に有しています。

 

 金融機関も、そして私たち企業再生コンサルも、表面的な財務分析にとどまることなく、まずは「財務諸表から経営者の意思決定を読み取ること」を心がけていきたいものです。