泉佐野市が示してくれたネーミングライツの問題点

 日本中があきれ果てたのではないでしょうか、泉佐野市のネーミングライツ(命名権)売却。

 

「大阪府泉佐野市は21日までに、来年度から歳入確保策の一環として、市名も含めた各種のネーミングライツ(命名権)を売却する方針を決めた。取得を希望する企業を募集するが、提案内容によっては市の名称を企業名や商品名に変更する可能性もあるという。自治体名の命名権売却は極めて異例。 市は、6~11月末まで募集を行う予定。契約期間は1~5年だが、状況に応じて、更新することもできる。」

 

「市名変更の可能性も? =命名権売却で―大阪府泉佐野市」

 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120321-00000109-jij-pol

 

 地名は、行政機関である市の単なる所有物ではありません。あらゆる人々の拠り所となる名前です。

 

 一般人や会社の住所に記載される名称であり、1年から5年でコロコロ変えられては、無用な混乱を招くことは明らかです。

 

 ある企業名が冠せられた市名(たとえば「パナソニック市」)のタイミングで運転免許証の交付を受けたら、手元の免許証には「パナソニック市」と表示されてしまうのでしょうか?

 

 そのタイミングで結婚して友人にお知らせするとき、

「私たち、結婚しました!住所はパナソニック市・・・・」という案内状になってしまいます。

 

 企業活動も大変です。住所を記載していある会社案内、名刺、封筒、その他もろもろを住所変更のつど書き換え(もしくはシール貼り?)なくてはなりません。

 

 私のブログでは、「公共性の高い施設について、ネーミングライツを活用して名称がコロコロ変わるのは好ましくない」、と一貫して批判的な記事を書いてきました。

 

2007年8月 3日 (金) 「ネーミングライツ」

 

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_fcca.html

 

2008年6月25日 (水) 「やっぱりダメ、ネーミングライツ」

 

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_4f3f.html

 

 上記のブログで例示した、「グッドウィルドーム」、「フルキャキャスト」スタジアムは、ご存じのとおり命名権を買い取った企業が不祥事をお越し、今は「西武ドーム」、「日本製紙クリネックススタジアム宮城」という名前に落ち着いています。

 

 私の身近なところでは、金山駅近くにある「中京大学文化市民会館」がその代表例同施設との契約は、平成24年6月末を持って満了となるが、中京大学は更新しない意向を表明しています。

 

中京大学文化市民会館 命名権更新せず」

 

http://www.tv-aichi.co.jp/news/2012/01/post-2416.html

 

 期間中は、「中京大学」の名前を冠していることから他大学が利用をためらうなどの弊害も見られたようですが、またまた名前が変わってしまうということで(たぶん、正式名称である「名古屋市民会館」に戻る?)、施設名を記載していた印刷物や看板などは、その変更を迫られることになります。

 

 このように、”公共性”の高い施設でさえ影響が大きいのだから、公共団体の名称は、よほどのこと(市町村合併など)がない限り、変えてはならないのです。

 

 マーケティングの専門家大西宏氏は、泉佐野市の今回の表明を「市が財政の窮状を市民に知っていただくための広報戦略」と洞察していますが、そこまで泉佐野市は考えていたとすれば、それはそれですごいことですが…。

 

「泉佐野市の命名権売り出しは、すでに広報戦略としては成功している」

 

http://blogos.com/article/34746/